2017.09.30契約
公正証書作成
現在のところ、法人が借主である不動産の賃貸借においては、
会社の代表者個人が連帯保証人となる契約が一般的に行われております。
しかし、近々予定されている改正民法の施行がされますと、
前述の場合には「保証人になります」という意思表示を『公正証書』で明示しなければなりません。
不動産の賃貸借契約時に貸主様にとって担保となるものは主に次の3つでしょう。
1.敷金・保証金
2.連帯保証人
3.賃貸保証会社による保証委託契約
しかしながら改正民法が施行された場合、公正証書作成の時間や手間を考えますと、
会社の代表者個人が「連帯保証人」になるケースは減る方向に向かうと思われます。
(親会社などの法人が「連帯保証」する場合は公正証書不要です。)
担保力が弱まる分、「敷金・保証金」を増やしたいところではありますが、
ほんのごく一部の超優良物件を除いて、あまり高いと借り手がつかないのが昨今の状況です。
そこで費用負担(大抵は借主負担)は発生しますが、
「賃貸保証会社」の利用が増えると業界では予測されております。
ところで現在でも、ある程度の規模の法人が借主となる場合は、
「代表者の個人保証なし」「賃貸保証会社利用無し」の契約がほとんどです。
その上、敷金・保証金も交渉が入って募集条件より下げられたりもします。
理由は、
『うちの会社の規模を見て下さい。信用充分でしょう。』 ・・・・という借主側の論理です。
しかしながら貸す側の立場としては、世の中何が起こるかわからないものです。
そんな時に当社では、オーナー様の立場に立って、
より安心できる条件を引き出せるよう知恵を絞って粘り強く交渉します。
『公正証書による契約』も1つの手段です。
前段が長くなりましたが、当社管理物件では、
契約時や更新時に公正証書作成を行っている物件がいくつかあります。
先日も1件、公証役場にて作成に立ち会って参りました。
内容は普通賃貸借契約の更新だったのですが、テナント側から
「原契約で連帯保証人となっている役員が退任するので、この機会に連帯保証人を無しにして欲しい。」
という条件変更の要望があったためです。
「敷金の増額」や「賃貸保証の利用」を打診しましたが、
「公正証書の作成で、何とかご勘弁頂きたい。」との返答でした。
公正証書にすることで、
オーナー様にとっては担保自体が増えるわけではありませんが、
いざという時に大規模な会社を相手に裁判をする負担は減り、債権回収の見込みは増えます。
今回はオーナー様のご判断で要望に応じることとなり、公正証書作成となりました。
もしかしたら今後、公証役場へ足を運ぶ機会が増えるのかも知れません。