2017.12.26法令
借主の死亡・行方不明等に関する対応③
「賃料を滞納している賃借人が、借室内で死亡状態で発見された」場合について、
前回は賃貸借契約はどうなるのかという話でした。
今回はその続きで、「誰がどんな責任を負う」ことになるのかという内容です。
前回は「賃貸借契約はどうなるのか?」という疑問に対して、
賃借人が死亡した場合であっても、
・賃貸借契約は当然には終了せず、相続人や同居の関係人に地位が承継される
・連帯保証人には契約解除や明渡しの権限が無い
ということをお話しました。
続きとして、先ずは「誰が責任を負うのか?」についてですが、
これは簡単な話で上記の「地位承継者」と「連帯保証人」です。
そして「どんな責任を負うのか?」については、2者の間で相違があります。
地位承継者は賃借人そのものと考えられますので、その責任も「賃借人と同一の責任」を負います。
一方、連帯保証人は、既に申し上げている通り「契約解除」と「明渡し」の権限がありません。
従いまして、その2点に関しては義務を負うことはありません。
それ以外については地位承継者と同じ責任を負うことになります。
地位承継者や連帯保証人が負う責任(義務)とは、具体的には次の通りです。
①滞納賃料の支払い義務
そして、地位承継者が契約継続を望まないのであれば、
②契約解除
③明渡し
④原状回復義務
⑤明渡し完了までの損害金支払い義務
が挙げられます。(②③は地位承継者のみです)
ここで一つ忘れてはいけないのが「善管注意義務」(言い換えると「維持管理責任」)です。
今回の事例は単に「死亡状態で発見」としておりましたが、
例えば「死後、相当期間を経て腐乱状態で発見」の場合や「自殺」の場合などは、
死亡した賃借人の善管注意義務違反が問われます。
結果、地位承継者や連帯保証人は、善管注意義務違反による損害賠償責任を負うこととなります。
連帯保証人となったからには、たまにはご本人の安否確認をする必要があるということですね。
この問題は、掘り下げていくと「損害の範囲」や「心理的瑕疵」などまだまだ問題点は出てきます。
(「次の入居者がなかなか決まらない場合、何年分まで損害として請求できるか?」「いつまで告知する必要があるか?」等)
それらについては、また別の機会に書いてみたいと思います。