2017.11.10契約
そして連帯保証人がいなくなった
座間市でとんでもない事件が起きました。
被害者・遺族は勿論のこと、事件現場となった物件のオーナー様も大変お気の毒です。
今回、タイトルはミステリアスですがその手の話ではありません。
法人が借主の賃貸借契約にまつわる話です。
借主が法人の賃貸借契約において、その親会社が連帯保証人になっているケースはよくあります。
先日あるテナントさん(A社とします)の本部ご担当者から、
「会社の組織再編で親会社(B社)に吸収合併『される』ことになりました。」
との連絡をいただきました。
既に取締役会の決議など諸々の手続きは済んでおり、効力発生日も決定している段階です。
「会社の合併」というと難しそうですが、法律上は「相続」に近いイメージです。
A社(「吸収合併消滅会社」と言います)が相続でいうところの「被相続人」に該当します。
B社(「吸収合併存続会社」と言います)が「相続人」にあたります。
「相続人」なので「当然に」賃借人の地位を引継ぐわけでして、賃借権の譲渡という問題も生じません。
(借主が変わりますので保証金の返還先など含めて、確認の意味で「覚書」などは取り交わしますが。)
ところが、ここで一つ問題が発生です。
今一度「A社」の賃貸借契約書を確認したところ、連帯保証人がなんと「B社」になってました。
A社は消滅してしまいますので、B社が「借主兼連帯保証人」となるのでしょうか。
連帯保証債務が「混同」により「消滅」する訳でもなさそうですが、
いずれにしても「借主=連帯保証人」という連帯保証契約に「実益」はありません。
結果、「連帯保証人無し」とならざるを得ないようです。
一応、「代表者による個人保証」「保証会社利用」などの追加を打診してみましたが、
B社は上場会社ということもあり(予想通り)いずれも丁重に却下されました。
(お時間がある方はこちらもご参照下さい。)
但し今回は、A社との契約時に預かった保証金が万一の場合を考えても十二分にありましたので、
オーナー様もご納得いただけました。
高額とも思える保証金ですが、やはりこんな時に活きてくるものなんですね。
(再認識しました。)