仕方のないことですが、ビルも歳を重ねるごとに老朽化が進んでまいります。
弊社管理物件の中にも、築後30年を超えるものが増えてきつつある状況です。
各オーナー様へは、大規模修繕などを計画的に進めていただきますよう、
ビルの状態を点検しつつ必要な進言をさせていただいております。
しかしながら、目には見えない設備の老朽化も着実に進んでいるわけで、
時として突発的な設備の不具合が起きてしまうこともあります。
弊社管理ビルでも、電気設備(キュービクル)の不具合による停電事故と
排水管の詰まりが原因の漏水を経験しております。
いずれもテナントビルで起きた事故ですが、入居テナント様には休業を含め
相当の損害が発生した事例です。
停電が発生したビルには飲食店舗が入居していたため、冷蔵庫・冷凍庫が使えず
廃棄になった食材の費用を弁償。
漏水については、室内の造作や設備でダメージを受けたものの修繕費用が発生しました。
※漏水により壁紙や床が傷んだ状態に。
この場合ですが、通常の火災保険だけではテナントへの損害賠償にかかる費用は賄えません。
なぜなら設備の不具合は、火災や自然災害にによって突発的に生じた事故ではないからです。
そこで登場するのが「施設賠償責任保険」です。
こちらの保険は「施設の安全性の維持・管理の不備や、構造上の欠陥」を原因とする事故により
負担することとなった損害賠償金を補償してくれます。
前述のケースでもこの保険により、テナントが被った損害の賠償金はすべてカバーされました。
(ちなみにビル設備の補修費用は補償対象外です。念のため。)
しかも漏水事故が起きたビルは、ちょうど火災保険の更新をされた直後で、
「施設賠償責任保険」の付帯を強くお勧めしたことをオーナー様に大変感謝されました。
補償内容は、保険会社ごとに微妙に違っているので確認が必要ですが、
保険料自体はそれほど高額ではないので、是非お入りになることをお勧めします。
テナントの業種、事故の内容次第では、高額な損害賠償を負わないとも限りません。
先ずは今の保険内容を確認してみましょう。